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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

DROP/ドロップ

ブラムハウスという製作会社の特徴は「低予算の刺激」。だけど手を抜かない。これが素晴らしい点!インターネットでハッキングもできる昨今だから生まれた本作は、ほぼワンシチュエーションだから緊迫感が増す。お陰で「密室殺人事件」のような犯人探しを楽しみながら、スマートフォンの着信バイブが不快感を煽り、追い詰められていく主人公の感情に観客は共鳴していくのだ。 途中、「何故、シングルマザーというリスクを持った私をマッチングアプリで選んだの?」というようなセリフを主人公がデート相手に尋ねるのだが、そこからの本音トークがシンプルなプロットに深みを与え、無駄の無い展開に納得できるのだ。よく練られた犯罪というのもこの映画のクオリティを上げている点。何故、このふたりが出会ったのか。何故、彼らがあの席に座っているのか。何故、その職業なのか。それもこれも伏線になっていて、気持ちよくスリルを味わえる映画になっていた。しかも登場人物、全員の個性を活かした展開もニクイ。行動心理にたけている脚本家の手腕だろう。

25/7/7(月)

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