水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

見逃せない、ちいさな芝居を中心に

釣木 文恵

演劇ライター

オフィスマウンテン 山縣太一 × 飴屋法水 『塹壕』10周年特別企画 ワイキキSTUDIO共催

飴屋法水さんが出演する演劇を観に行くときは、少し緊張します。なんというか、飴屋さんが命を丸ごと、観客の前に投げ出しているように見えるからです。たとえば身体を宙吊りにしたり、自転車ごと倒れ込んだり。こうしてそこだけを言葉にしてしまうととても伝わりづらいのですが、飴屋さんのその姿はパフォーマンスという言葉で片付けられない、本当に命そのものを見せる行為だと思っています。思えば2018年に山縣太一さんらとともに上演した「スワン666」でも、やはり飴屋さんは観客の目の前で水の中に飛び込みました。『塹壕』の上演は、ある日突然SNSにアップされた手書きの案内の写真で知りました。山縣さんと飴屋さんが二人で演劇をやるらしい。それ以外のことは何もわかりません。私は相変わらず少し緊張して会場へ行くことでしょう。そしてきっと目の前で起こることに釘付けになり、この公演が忘れられない夏の体験として刻まれるのだと思います。

25/7/7(月)

アプリで読む