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社会を映しだす映画をわかりやすく紹介
池上 彰
ジャーナリスト、名城大学教授
入国審査
25/8/1(金)
新宿ピカデリー
アメリカのトランプ大統領が不法移民追放を主張して実行に移す一方で、新規にアメリカに入国しようとする人間に対しても厳しい態度を取っています。こんなアメリカだから、こんな状況もあるかもしれないという発想で、こんな映画も生まれました。アメリカへの入国審査をめぐる不可解な出来事のサスペンスです。 外国に入国する際の入国審査では、適正なパスポートを持っていても、入国できるかどうかドキドキするもの。そんな状況が見事に描かれます。 スペインのバルセロナからニューヨークに降り立ったディエゴとエレナ。エレナがグリーンカードの抽選で移民ビザに当選し、事実婚のパートナーであるディエゴとともに、新天地での幸せな生活を夢見てやって来ました。 入国審査でパスポートを確認した職員はふたりを別室へ連れて行き、密室で拒否権なしの尋問を始めます。予想外の質問を次々と浴びせられて戸惑う彼らですが、エレナはある質問をきっかけにディエゴに疑念を抱き始めるのです……。 ディエゴの国籍はベネズエラ。ベネズエラは国家が破綻状態で、多数のベネズエラ人がアメリカに難民としてやってきましたが、トランプ大統領は、彼らの難民申請を受け入れず国外追放に乗り出しています。 こんな時代背景を知っていると、ディエゴが厳しい尋問を受けることになる理由がわかるでしょう。 このふたりにとって、アメリカに来たことは、果たして幸せだったのでしょうか。
25/7/12(土)