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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
MELT メルト
25/7/25(金)
新宿武蔵野館
非常に衝撃的で、人によってはトラウマを刺激されるタイプの映画だ。時間軸が現在と13歳の少女期の二項で進んでいく、ミステリー風ともいえる作品である。現代はブリュッセルでカメラマンのアシスタントをしているエヴァを追う。彼女はずっと孤独だ。他⼈と交わろうとしない性格であり、両親とは⻑らく絶縁しているし、恋人を作る気もない。なぜ彼女がそんな人間嫌いな大人へと成長したのか。その理由は少女期に遡る。妹ばかり可愛がるアルコール依存症気味の母。外では男の子の友人ふたりと仲良しだったエヴァだが、彼らが性的な目覚めを迎え、未成熟なエヴァは仲間外れにされるようになった。なんとか仲間に加わろうとするエヴァは、より激しく傷つけられる悲惨な道へと突き進んでいく。陰惨なストーリーで気が滅入る、厭映画の新たな代表作の登場だ。
25/7/15(火)