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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

ジュラシック・ワールド/復活の大地

『ジュラシック・パーク』から始まった物語は、まだ終わっていなかった。 脚本はシリーズの最初の2作『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』のデヴィッド・コープが28年ぶりに復帰し、製作総指揮のスティーヴン・スビルバーグも脚本作りにかなり関与している。監督のギャレス・エドワーズはスビルバーグ映画で育った世代。 というわけで、スビルバーグが監督した映画を見ているような気分だった。前半の舞台が海のせいもあって、どことなく、『ジョーズ』を思い出させる。 舞台はテーマパークではなく、海と孤島という大自然。孤島には恐竜を再生する研究所があったが、いまは廃墟となっている。 陸海空を代表する三大恐竜のDNAを採取するため、製薬会社が雇ったチームが主人公。女性をリーダーにしてチームが編成されるまでが手際よく描かれ、いざ、大海原へ。海の恐竜との戦いが終わると、次は島へ上陸して断崖絶壁での空の恐竜との死闘があり、最後は陸の恐竜が待っている。三大恐竜を一度に出すのではなく、順番に出すのが、うまい。凡庸なプロデューサーなら、もったいないから3本にしようとして、ダラダラとした失敗作になりそうだが、スピルバーグはそんな愚かなことはしない。 この人は多分こうなるだろうなと思っていると、たいがいその通りになる。過去の娯楽映画の常套手段を駆使しているのだが、古臭くなく楽しませてくれる。 ともかく「理屈抜きの面白さ」とはこういうものだという見本のような映画。

25/7/18(金)

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