試写のハガキに「予測不能の77分!」と書いてあったが本当にその通りだった。そして、たった17日間で撮影された低予算の映画が世界中の映画祭で数々の賞を獲得したのもわかる。ベネズエラからスペインへ移住した際の監督自身の実体験を基に、新天地を目指してニューヨークの空港に到着したカップルが密室で不可解な尋問を受ける様子をサスペンスフルに描いた『入国審査』は本当によくできた映画だ。監督は驚くなかれ、これがデビュー作というベネズエラ出身のアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケス。第二次トランプ政権下のアメリカで、移民の強制送還や不当逮捕が日々報道されているだけに、余計リアリティがある。主軸となる4人の俳優の演技も申し分なし。見逃せない秀作だ。

25/7/22(火)