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ジャンル横断、センスのいいセレクト

立川 直樹

プロデューサー、ディレクター

クンストカメラ

1988年の『アリス』以来、『ファウスト』『悦楽共犯者』など、これまで6本の長編を発表してきたチェコのシュルレアリストにして、アニメーション&映画作家ヤン・シュヴァンクマイエルの最新3作品の日本公開が決定した。その中でも特におもしろかったのが、2時間、世界中から集めた絵画や彫刻、動物の剥製や貝殻、自身や妻の作ったオブジェなど、一般の価値基準とは無縁の不思議なコレクションがヴィヴァルディの『四季』にのって、ナレーションもなしに延々と映し出される2022年の作品『クンストカメラ』。シンプルに撮影されたもののように見えて、編集、床やドアの軋む効果音にシュヴァンクマイエルらしさが強烈に香る。恐るべき90歳の怪人だ。

25/7/24(木)

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