松川朋奈のペインティングはいつも、こまやかでていねいに筆致を重ねることによって、外界をごくリアルに描き出していく。今展でモチーフになっているのは母と子の姿、それに植物である。母親の手のひらに刻まれた意外に深いシワや、子どもの全身を覆っている産毛、葉っぱの表面に走っている葉脈など、細部が綿密に描き込まれていて、観る側はそれらを息を詰めて目で追うことになる。
じっと対面していると、何かが「わかった!」という気がしてくるから不思議だ。表面を克明に描いた絵から、母と子のあいだに通う愛情や哀しみ、ちょっとした怒りや嫉妬みたいなもの...