ダンスを観るとき、「この人たちは自分とはまったく違うふうに世界を認識しているのではないか」と思うことがある。自分の身体を知り尽くして、それを自在に動かすその姿に、心奪われる。
男肉 du Soleilは、そういうダンス体験とはちょっと違う。舞台で繰り広げられるのは、ひきしまった肉体、指先まで計算されたなめらかな動き……とはかけ離れたダンスだ。鍛え上げられた身体もいるにはいるが、彼らに混じってたっぷりとした体つきの人も、ごくふつうの体型の人も存在する。そんな面々が、思いっきり踊る。この場では、きれいに揃うことよりも、情熱をそのままぶつけることのほうがたいせつにされている。特別ではない、自分と地...