イメージの本
イメージの本 (C)Casa Azul Films - Ecran Noir Productions - 2018
ゴダールはかわいい。
そろそろ思い切って、そうつぶやいてもいいのではないか。
あくまでもパーソナルなルールで、自分だけの映画史をかたちづくってきた男は、絵画、映画、文章、音楽を四大元素に掲げ、もちろん要素はそれだけではないが、相変わらずの筆致で、それら引用の織物を、だれよりも勤勉に織って織って織って織りまくる。
“だれよりも”と書いたが、彼はだれかを相手にしているわけではないし、強いて言えば自分自身に向けて、彼だけの“イメージの書物”を供する。その様は、孤高などと呼ぶ必要もないほど優雅だし、孤独と形容するまでもなく無邪気だ。
見栄をきるようなナレーションは、いよいよ堂に入っており、そこ...