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大人目線のクラシック通

樋口 裕一

作家

読響 土曜・日曜マチネーシリーズ

昨年、読響の首席客員指揮者に就任したユライ・ヴァルチュハは、いくつもの注目される演奏を聴かせてくれましたが、今回取り上げるのは、リヒャルト・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」とベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」です。 「メタモルフォーゼン」は第2次世界大戦末期、最晩年のシュトラウスが崩壊するドイツの状況を嘆いて作曲したといわれています。この曲の全体から聞こえてくるのは、ベートーヴェンの「英雄」の第2楽章「葬送行進曲」の響きです。この曲はまさしくドイツへの葬送の音楽であり、ドイツ文化の復活を祈る音楽でもあったでしょう。 「メタモルフォーゼン」と「英雄」を続けて聴くことで、きな臭くなってきた世界情勢が第2次世界大戦のようにならないことを祈りたいものです。

25/8/15(金)

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