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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
よみがえる声
25/8/2(土)
ポレポレ東中野
今年で90歳になる在日朝鮮人2世の映画作家、パク・スナム。『もうひとつのヒロシマーアリランのうた』『アリランのうたーオキナワからの証言』など、在日朝鮮人を中心に社会のマージナルな場で生きる人々を描いたドキュメンタリーで知られる。そんなパク・スナムの人生と映画製作を、娘のパク・マイが共同監督として描き出す。パク・スナムは1958年の小松川事件の被告、イ・ジヌとの往復書簡『罪と死と愛と』で有名だが、やがてペンから映画カメラに転じた。そんな彼女の表現活動はつねに在日朝鮮人の歴史と重なり合って興味深いが、本作では時に口論しながらやりとりする母娘の姿や母親をリスペクトする娘の思いも微笑ましく描かれ、個人の生き方、親子の関係、在日問題、映画制作などが重層的に響きわたって秀逸だ。
25/7/26(土)