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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み

真魚 八重子

映画評論家

近畿地方のある場所について

原作は散文調だったが、映画は男女の主役をふたり立てることで、見事に一本のドラマ仕立てにしている。さすが手練れの白石晃士監督の仕事。原作者の背筋も脚本協力で参加しており、この映画化を受けて改稿した文庫版も7月25日に発売された。映画は原作のオムニバス的な魅力を、様々な映像ツールを駆使することで、きちんと取り込んでいるのも感心した。古ぼけた調子の地方の古いアニメ番組など、禍々しいコンテンツも映画オリジナルでプラスされている。原作では飛び降りの人体損壊シーンはあるものの、幽霊や妖しい存在がメインだったが、映画はもっとスラッシャー的なものもプラスしていて、即物的な恐怖も増している。お札のような貼り紙も怖い……! 菅野美穂の頼りがいがあるキャラが観客の心の拠り所になる。

25/8/5(火)

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