評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
何も知らない夜
25/8/8(金)
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
カースト制度や宗教対立が根強く残るインド社会に生きる女性たちの姿を描いた『私たちが光と想うすべて』が公開されるパヤル・カパーリヤー監督によるドキュメンタリーだ。2年前の山形国際ドキュメンタリー映画祭で大賞に輝いた。公営学校の「インド映画テレビ技術研究所」を舞台に、宗教対立から両親に交際を反対された女子学生の恋人への手紙を見つけて読み上げる架空の話を重ねながら、学生生活の風景、ヒンドゥー至上主義政権による大学など教育機関への抑圧の強化、それに反対する学生たちの抗議活動と極右団体による暴力的な襲撃など、モノクロ映像による詩的に工夫された構成で描き出す。現実とフィクションを融合させながら、身分や宗教による差別や偏見に満ちた社会の実態に迫って印象深い。
25/8/3(日)