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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
サタンがおまえを待っている
25/8/8(金)
シネマカリテ
悪魔崇拝は黒魔術や魔女狩りなどで知られるが、1980年代に北米で起きた「サタニック・パニック」もそうした事例のひとつ。きっかけはミシェルという女性と精神科医のローレンス・パズダーが1980年に出版した『ミシェル・リメンバーズ』という共著本によるという。そんなミシェルとローレンスの当時の記録映像(撮影時、ローレンスは死去、ミシェルは出演を拒否)、彼らの家族、学者やFBI捜査官などの証言を織り交ぜながら「サタニック・パニック」の真相を追ったドキュメンタリーだ。当時、多くの人々が悪魔崇拝の体験を報告するが、実態は憑依に似た妄想や思い込みのようだ。噂が噂を呼んで真実と思い込む今日の陰謀論に近い印象は否めないが、そんな心理に囚われることこそ真の恐怖といえなくもない。
25/8/5(火)