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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション
25/8/1(金)
TOHOシネマズ日比谷
人気テレビドラマの劇場版、第二作。東京MERは東京都知事直轄の緊急医療チーム。詳しいことは冒頭で説明されるので、テレビ版を見ていなくても、物語に入っていけるはず。 東京での実績をみて、政府は全国主要都市にもMERを設置し、鹿児島県と沖縄県内にまたがる南海に設置された「南海MER」が、この映画では主人公となる。島々を巡回し、島民たちの健康状態や家族関係まで知り尽くしている医師(江口洋介)を中心に、若い医師や看護師によるチームなのだが、人間関係がギクシャクしている。そこに、テレビ版のレギュラーである、東京MERのチーフドクター(鈴木亮平)と、看護師(菜々緒)が指導員として参加している。 医療ものだが、この劇場版は、ディザスター(災害)映画の要素が強い。人口80名ほどの島の火山が噴火し、たまたまその近くを航海中の南海MERが、怪我人や病人を助けに行く。噴火は激しくなり、噴石が落下し、溶岩が港にまで押し寄せてくる。一刻も早く島民全員が避難をしなければならない。海上自衛隊の艦船も海上保安庁もすぐには着けない。噴煙でヘリコプターも飛べない。外部から来たのは南海MERだけ。さあ、どうする。怪我人の治療が優先だが、島民も見捨てるわけにはいかない。 医療チームの活躍が中心ではあるが、島民たちが助け合いながら、どう脱出するかというドラマも見応えがある。 テレビ版でのレギュラーメンバーも、東京MERの面々、都知事、厚生労働省の官僚など、みんな登場し、それぞれ見せ場があるので、テレビ版のファンも満足だろう。つまり、テレビ版を知らなくても楽しめ、よく知っていれば、なお楽しめる。 劇場版の前作は横浜が舞台で、東京の隣なので、東京MERもすぐに行けたが、今回の舞台は南海の島だ。はたして東京MERは登場するのだろうかと思いながら見ていたが、おお、こうきたか、という形で登場したので、大満足。 海洋映画でもあり、まさに夏にふさわしい娯楽大作。
25/8/4(月)