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夏目 深雪

著述・編集業

海辺へ行く道

夏といったら夏休み。海や山で子どもたちが思う存分飛び跳ねる映画を観るのは映画ファンにとって格別の愉しみだ。この横浜聡子監督の新作も、瀬戸内国際芸術祭2025正式参加という要素も加わり、期待大で観た。 海辺という舞台、子どもたちの瑞々しさ、劇中に出てくるアートなどで既に見どころ満載なのだが、さらに癖のある大人の俳優たちの演技のアンサンブルが楽しめる。高良健吾と唐田えりかの詐欺師カップル、怪しげなアーティストに騙されている剛力彩芽など、俳優ら自身が持つイメージと遊ぶようなぶっ飛んだキャラクターをおおいに楽しんだ。 つまり、この映画では思う存分飛び跳ねるのは子どもたちだけではないのだ。子どもと大人の境界線をなくすような映画を、夏休みと普段の生活の境界線である8月末に観るのは粋としか言いようがない。アート万歳!

25/8/22(金)

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