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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み

真魚 八重子

映画評論家

タンゴの後で

『ラストタンゴ・イン・パリ』で、スキャンダラスな話題となってしまったマリア・シュナイダーの人生の映画化。『あのこと』のアナマリア・ヴァルトロメイが主人公マリアを演じる。『ラストタンゴ・イン・パリ』は行きずりの男女が関係を持つ映画だが、撮影現場ではマリアに事前の説明もなく、バターを使った性行為のシーンが撮られた。それは疑似であれ凌辱行為だった。映画は内容から話題となり、監督のベルトルッチと相手役のマーロン・ブランドは取材攻勢からいち早く逃げ出す。そしてマリアだけが、どんなインタビューでもバターの話題を出され、出演依頼が来る映画もヌードシーンばかりになってしまう。マリアは精神的苦痛からか、麻薬に依存していく。ひとりの女性の人生が心無い撮影によって壊された、悲劇の映画化だ。

25/8/28(木)

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