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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み

真魚 八重子

映画評論家

愚か者の身分

闇バイトの世界から抜け出そうとする三人の青年の三日間を描いた作品。タクヤ(北村匠海)と弟分のマモル(林裕太)はSNSで女性を装って、孤立した男から個人情報を聞き出し、戸籍売買を行っている。しかし内心タクヤは行き詰まりを感じ、この世界から抜け出したいと考えていた。しかし上役の裏切りに遭い、組織から恐ろしい仕打ちを受ける羽目になる。タクヤの兄貴分の梶谷(綾野剛)はその処理を任され、感情が揺れ動く。闇バイトの青年たちの間にも友情があり、兄貴分や弟分への思慕や慈しみの感情が自然と存在するという、当たり前のことに気づかされる。人をただ肉塊のように思う狂気も渦巻く世界だが、闇バイトの世界に入った者すべてがそれを受け入れているわけではない、命懸けで仲間を想う温かい人間性に胸打たれる。

25/10/13(月)

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