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「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画を紹介します
LiLiCo
タレント、映画コメンテーター
グランドツアー
25/10/10(金)
TOHOシネマズ シャンテ
1918年のビルマ(現・ミャンマー)ラングーン。大英帝国の公務員として働くエドワードは、ロンドンから婚約者モリーを招いて結婚をする……はずでした。がしかし、彼は結婚にまだまだ迷いがあって、モリーが乗った船を待っている間も逃げたくてウズウズ。彼女の到着直前に目にしたシンガポール行きの船に飛び乗ってしまいます。逃げるエドワード、追いかけるモリーは、ぐるっとアジアの長旅をする羽目に……。 グランドツアーというタイトルは、この作品が描いている時代に欧米人の間で流行したアジア旅行のことを指すそうです。イギリス領インドから北上して日本などの極東をめぐる、という旅。なので、この作品には一部日本の描写もあります。 が! ちょっとご注意。このストーリーを読んで「ふむふむ、追っかけっこなのね」と思って劇場に行くとびっくりしちゃうかも。というのも、出てくる映像は時代を超越しちゃってるんですよ。ネタバレになるのでどこで現代が出てくるのかは伏せておきますが、巡る国々はミャンマー、シンガポールをはじめ、タイ、ベトナム、フィリピン、日本、中国の7カ国。しかも全部ロケ! 流麗なカメラワークとその国々独自の文化を映し出していて、ストーリーが吹っ飛んで「えっと……今何を観ているんだろう」ってことになる人もいるかと(映画通の方なら、「あぁ、ミゲル・ゴメス監督だものね」となるでしょうけど)。なんせこの作品、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されて、見事監督賞を受賞したアートな作品。 私は子どもの頃に「カンヌで賞を獲る作品はもっと映画を見る目がないとダメなのかな」と思っていたんですが、そのときの気持ちを思い出してしまいました。が、現代のパートと物語のパートを直感的に受け止めたら、自分も一緒に旅している気分になれること請け合い。監督自身がグランドツアーしてロケハン~撮影した気持ちをシェアしましょう。
25/10/18(土)