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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
旅と日々
25/11/7(金)
TOHOシネマズ シャンテ
三宅唱が監督・脚本を手がけた作品。つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』を原作にしている。脚本家の李(シム・ウンギョン)がノートにハングルで脚本の構想を書きつけている。それは海辺で男女が出会う物語だ。それが映画内映画として、河合優実と髙田万作で演じられる。一時のホン・サンス監督がよく映画内で試写を取り上げていたが、それを彷彿とさせる作りだ。後半は李が雪国に旅行に出かけ、ホテルを取ることができずにオンボロな民家のような宿屋に泊まる物語。宿の主人のべん造を堤真一が演じている。男女が一つ屋根の下で眠っていても、何も起こらない安心感がいい。ふたりが宿を抜け出してする悪さも微笑ましく、旅の楽しさになごむ一作だ。
25/11/3(月)