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現代作曲家の立場で分かりやすく紹介
三枝 成彰
現代作曲家
新国立劇場オペラ『ヴォツェック』
25/11/15(土)~25/11/24(月)
新国立劇場 オペラパレス
アルバン・ベルク(1885-1935)は、オーストリアの作曲家。初めは独学で作曲を学び、のちにウィーン国立音楽院で学びました。そのころから同時代に活躍した作曲家シェーンベルクらとも交友がありました。いくつかの作品を書いたのち、夭折した作家ゲオルク・ビューヒナーの戯曲「ヴォイツェック」の舞台を観た29歳のベルクは、この作品をオペラ化することを思い立ちます。台本もみずから手がけたオペラ『ヴォツェック』が完成するまでには、10年近い時間がかかりました。あいだに他の作品の作曲があり、おりしも勃発した第一次世界大戦のために自身の兵役も重なって、台本の草稿を書いたのは1914年でしたが、総譜の完成は1922年、初演にこぎつけたのは1925年のことでした。 実在の男性が起こした殺人事件をもとに書かれた物語は、衝撃的なものです。貧困生活を送る兵士のヴォツェックが、内縁の妻マリーの不倫を知り、精神的に追い詰められ、衝動に突き動かされるさまを描き出しています。 11月15日(土)、18日(火)、20日(木)、22日(土)、24日(月・祝)、東京・初台の新国立劇場 オペラパレスにおいて、今回、英国の気鋭の演出家リチャード・ジョーンズを迎えた新制作での上演。指揮は同劇場のオペラ芸術監督、大野和士さん。出演はトーマス・ヨハネス・マイヤーさん(ヴォツェック)、ジョン・ダザックさん(鼓手長)、ジェニファー・デイヴィスさん(マリー)ほか、管弦楽は東京都交響楽団。 今年、初演から100年となる本作品。どのような舞台になるでしょうか。
25/11/2(日)