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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
栄光のバックホーム
25/11/23(日)
TOHOシネマズ日比谷
阪神タイガースの選手だった横田慎太郎とその母を主人公とした映画で、阪神タイガースが全面協力。 横田は高校時代は甲子園へ行っていないし、タイガースに入ってからも1軍の試合に出たのは数試合だけなので、タイガース・ファン以外にはあまり知られていないだろう。2013年のドラフトで2位指名された期待の選手で、16年には開幕戦でスターティングメンバーに選ばれた。だが、それが選手としての頂点だった。脳腫瘍となってしまうのだ。手術し、リハビリして、再起へ向けて努力し、球団も育成枠にしてサポートしていたが、結局、引退を余儀なくされた。その最後の試合に外野手として出て、バックホームでアウトにしたことがタイトルの由来。 金本監督やチームメイトの北條、阪神0Bの掛布、川藤などが実名で登場し、みな有名な俳優が演じているが、横田選手を演じるのは新人の松谷鷹也。その素人っぽさが、この場合、プラスに出ている。だが、病が重くなっていくにつれて迫真の演技となり、俳優としての将来が期待できる。 映画全体では横田選手の母が主人公で、鈴木京香が演じている。お涙ちょうだい映画になりそうなところを、抑制した演技でギリギリで救っている。それでも涙もろい人は号泣してしまうだろう。 横田選手は2023年7月に亡くなるが、映画はそこでは終わらない。この年、タイガースは優勝し、監督の胴上げには横田のユニフォームも参加した。その場面は実際の優勝時の映像が使われ、阪神ファンとしては、ここでまた涙があふれる。さらに映画は続いて、意外な事実が明かされる。
25/11/15(土)