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ドキュメンタリー評論のエキスパート

村山 匡一郎

映画評論家

医の倫理と戦争

日本の安全保障政策を転換させた2015年の「安保法制」成立の際に、反対する人々の間に医療関係者はほぼ皆無だったという。「医」の対極にある戦争に何ら関心を抱くことのないわが国の医療関係者の倫理とは何か。そんな疑念に答えるドキュメンタリーである。第2次大戦後の日本の医学界の中心を担った人々には戦争中に陸軍731部隊に所属した人たちが多く、人体実験などによる知見を生かして医学界に君臨したという。ナチス・ドイツでは医療従事者は戦争犯罪人として裁かれたが、731部隊の医療関係者はアメリカ軍との取引で何ら罪に問われることがなかった。そんなわが国の「医」のあり方を4章仕立てで炙り出す。昔から「医は仁術なり」といわれるが、戦後日本の医学界の闇を知ると恐ろしい気がする。

25/11/25(火)

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