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ピアノのスペシャリスト
高坂 はる香
音楽ライター
クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
25/12/3(水)~25/12/8(月)
サントリーホール 大ホール
最近のホットな話題になりますが……先に行われたショパンコンクールでは、「24のプレリュード」が6曲ずつ4分割され、その1ブロックを弾くという課題がありました。“この作品は全曲弾くことで小宇宙が表現されるのでは”という固定観念をどこかに持っていた自分は、一部だけ弾く課題はやりにくいのではと思い友人のロシア人ピアニストに聞いてみたところ、「いや、自分は面白いと思うよ、リヒテルもよく一部だけ弾いていたし」といわれ、そういうものかと思ったのでした(ただ結局コンクールでは、他のレパートリーを調整して全24曲を弾く形にしていた人もたくさんいましたが)。 そんな中、今回ツィメルマンさんのリサイタルプログラムの新しい試み「プレリュード & Co(その仲間たち)」 のコンセプトを読んだら、「“全曲演奏”へのこだわりは、レコード産業の登場から始まったもの。そのあり方に強く反発した一人はリヒテル」とあり、あの話がここでも出た!と思ったところです。 というわけで、すでに始まっているツィメルマンさんの日本ツアー。事前に用意してある63の小品から選んだプレリュード的な作品を「真珠のネックレスのようにつなぎ合わせ」て聴かせてくれるとのこと。一期一会の体験が待っています。
25/11/28(金)