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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
プラハの春 不屈のラジオ報道
25/12/12(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町
歴史的事件の再現度が高い、社会派エンタテインメントの傑作。 1968年にチェコスロバキアで起きた、民主化・自由化運動が、ソ連によって弾圧された事件を、ラジオ局で働くジャーナリストを主人公にして描く。 新聞、出版は、印刷・輸送という工程の途中で発行停止になってしまうので、弾圧されやすいが、放送は、電波に流してしまえば国民に届く。その結果、体制が崩壊することもありえる。だから権力側は放送局を常に監視していなければならない。 そこで国家の保安部は、ある青年の弱みを握って彼を脅迫して、ラジオ局に政権側のスパイとして送り込む。このスパイとなった青年を主人公として彼の視線で描くので、この事件をよく知らない人にも、どういう経緯だったのかが分かりやすい。民主化運動の昂揚から、一転して、ソ連による弾圧される過程で、青年は揺れ動き、ある決断をする。 チェコの映画をめったに見ないので、俳優は知らない人ばかりだから、当時の記録映像を見ているような感覚になる。 当時のチェコスロバキアは社会主義国なので、国営放送しかないわけだが、それでも、政権の言いなりにならず、政権に不都合なことも報道していた。まさに、命がけで。それに比べて、「報道の自由」「言論の自由」があるはずの、いまの日本はどうなのだろうと、思ってしまう。
25/12/9(火)