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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城
26/2/27(金)
TOHOシネマズ日比谷
今回の劇場版「ドラえもん」は、海底での冒険と戦いと友情のドラマ。 大人が見るとして、物語のキーとなるのはAIだ。世界を死滅させる巨大な兵器を管理するAIが敵。ドラえもんのひみつ道具のひとつ、水中バギーにもAIが搭載されていて、会話ができる。科学技術の最先端を基本設定に置くが、タイトルに「新」とつくように、1983年の映画版「ドラえもん」第4作のリメイク。40年前にAIと人間は共存できるのかというテーマを描いていたのだから、藤子・F・不二雄の先見性には驚く。 物語は83年版からの変更点は少なく、おどろくほど、同じ。前半は、のび太が海底を旅しながら、海の中の生物や地形について教わっていく学習まんが的。途中から、海底にふたつの大国があることが分かり、SFになっていく。1983年はまだ米ソの冷戦時代だから、前作はそれを反映していたわけだ。その後、冷戦は終わったのに、再び、アメリカと中国という2大国が牽制しあう世界となっているので、これもまた非常にタイムリーな設定になっている。 海底の2大国のひとつアトランティスは、過去の戦争ですでに滅んでいるのだが、コンピュータが管理する大量破壊兵器のシステムだけが残っている。そのAIは、もし敵から攻撃されると報復のため大量破壊兵器を発射することになっていて、そうなると、海底世界だけでなく、地球全体が滅亡する。 そのシステムが海底火山の影響で稼働した。このままだと地球が危ない。というわけで、ドラえもんたちが大活躍。今回は、静香ちゃんが主人公と言っていい。 ドラえもんたちが海底を移動するのに登場するバギーのAIは、のび太や静香ちゃんから、人間の「心」を教わっていく。これがラストの悲劇へとつながる。 報復システムのAIと水中バギーのAI。ひとつは人間の手に負えなくなり暴走、ひとつは人間との間に友情が生まれる。それぞれの判断は、いかに? いつもの「ドラえもん」映画と同じで、大人が見ても、見応えがあり、考えさせられる。
26/2/15(日)