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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

木挽町のあだ討ち

長尾謙杜が女性に扮して殺陣を披露。相手は江戸時代のチンピラに扮した北村一輝。この大立ち回りがまた大胆で、所作の美しさにも魅せられるオープニング。その際、裏方たちの手腕により、広場がまるでステージのようになっていく様が映し出されるのだが、それが本作を映画化した最大の意味だと思っている。なぜなら映画も、役者はもちろん、照明、美術、小道具、美術、監督、衣装、宣伝など多くのスタッフにより作られており、このシーンだけで映画作りを投影している気がして胸が熱くなるのだ。 しかもミステリーとしても面白い。柄本佑が江戸時代の探偵さながら事件現場に降り立ち、関係者に聞き込みをしていくのだ。その相手というのがまた芸達者揃いで、登場するだけで迫力を感じる渡辺謙を筆頭に、瀬戸康史、滝藤賢一が役を更に深めた演技で華を添える。皆、服装も髪型も職業や性別により違うので、目でも楽しめ、改めて江戸時代が個性的であったと気付かされた。そしてからくりだらけの展開で、笑ったりグッときたりとあっという間の2時間。これこそ時代劇エンタテインメントの傑作と言える充実感を味わった。

26/3/3(火)

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