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春日 太一

映画史・時代劇研究家

藍反射

野本梢監督は、当事者でないと気づきにくい苦しみを抱えた人々に眼差しを送り続ける。本作もそう。 主人公は、若年にして不妊治療をすることになった女性。周囲の理解の無さだけでなく、悪意のないちょっとした言動が彼女を傷つけていく。そんな状況への苛立ちや怒りを込めた構成でありつつも、全体を包み込む空気はどこまでも柔らかい。一つ一つの映像、一つ一つの音声が確かな技術で紡がれており、その繊細な設計が「苦しむ人々の心情を余すことなく伝えたい」という作り手の想いに重なってくるからだ。 人に対する思いやりのあり方を説教臭くなく示してくれる、優しい作品だ。

26/3/11(水)

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