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五十川 晶子
フリー編集者、ライター
大阪松竹座さよなら公演「御名残四月大歌舞伎」
26/4/3(金)~26/4/26(日)
大阪松竹座
『五條橋』 義太夫狂言『鬼一法眼三略巻』の五段目を独立させた長唄の舞踊劇だ。『義経記』の中に、弁慶千人斬りの最後に現れた牛若丸に敗れる逸話がある。また、「京の五條の橋の上~、牛若丸と弁慶は~」という童謡をご存じの方もいるだろう。 鞍馬山に身を隠していた牛若丸は、ある晩、稚児姿に朱鷺色の被衣をかかげて京の五條橋に現れる。暗闇に立つと女性にも見えるその姿を怪しみ、西塔の武蔵坊弁慶が牛若丸に斬りかかる。頭巾に胸鎧、大薙刀といういでたちで、夜ごと通行人から武器を奪い取ってきた弁慶。千本まであと一本だった。牛若丸はひらりと橋の欄干に飛び上がり弁慶を翻弄、ひとたび抜刀すると目にもとまらぬ早業で、ついに弁慶も降参。その優雅な見かけとは真逆の強さに弁慶は若者をほめたたえ主従の契りを結ぶ。 この後の、いくつもの歌舞伎の狂言、例えば『義経千本桜』『勧進帳』『熊谷陣屋』『弁慶上使』などで活躍する弁慶と牛若丸=源義経の関係が、ここから始まるかと思うと胸アツだ。 こしらえにも注目だ。”橋弁慶”といえば頭巾、水衣に大口袴という姿をよく見かけるが、六代目菊五郎にならい、坊主頭に紅白の鉢巻を撒いて荒事の隈取というこしらえで勤める場合も。牛若丸は鉢割の前髪、源氏の紋・笹竜胆の大口の袴に狩衣ということもあれば、括り袴に素足という軽装という役者さんも。また弁慶の七つ道具は、全て相手から奪ったものばかりなので、造作が揃わないようにしているという芸談もある。 舞台美術も、能がかりのものから東山の遠景を望む写実なものまでさまざま。さて今回はどうなるだろう。
26/3/22(日)