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時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介

佐々木 俊尚

フリージャーナリスト、作家

1975年のケルン・コンサート

ジャズピアニスト、キース・ジャレットの「ザ・ケルン・コンサート」(1975)と言えば、ジャズファンで知らない人は誰もいない名盤中の名盤。完全な即興で放たれたピアノソロは、もはやジャズという枠組みを越え、圧倒的な存在感と美しさを持って聴く人の心に迫ってくる。 本作は、そのコンサートの裏側で起きていた笑うに笑えない現実のドタバタ劇を描いている。その演出が、まるで1998年の『ラン・ローラ・ラン』を思い起こさせるような素晴らしい疾走感。18歳の若い女性プロモーターは徹底的に動と明で描き、そして欝に陥りながら演奏の旅を続けるキース・ジャレットを静と暗で描く鮮やかな対比。それらも相まって、最高の音楽映画に仕上がっている。ジャズに興味がない人でも思いきり楽しめるだろう。

26/3/28(土)

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