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夏目 深雪

著述・編集業

1975年のケルン・コンサート

キース・ジャレットのアルバム「ザ・ケルン・コンサート」は名盤と名高いアルバムで、1990年代に遅れてジャズに嵌った私もアルバムを持っていた。だが、特にジャレットのファンではなかったので、演奏が完全即興だということも、当時ジャレットが陥っていた酷い状況(車を長時間走らせて次の会場に駆けつけていて、腰痛がひどい)や、ジャレットのリクエストしたピアノが手違いで用意できず、代わりに調律もできていずペダルも巧く動かないピアノしかなかったことなど、全く知らなかった。 困難にもかかわらず、力技で興行を成功させる18歳のヴェラ・ブランデス。演じたマラ・エムデが素晴らしく、今後のドイツ映画の目玉になりそうだ。ジャレットは『セプテンバー5』のジョン・マガロが演じていて、こちらも巧い。 題材だけでなく、時間軸の交錯やジャズ記者マイケル・ワッツの語りが登場人物に拒否されるなどの遊びなど、疾走・即興に満ちた構成がジャズ的で、センスが光る。監督はNYを拠点に活動するイスラエル出身のイド・フルーク。今後も要注目だ。

26/4/4(土)

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