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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

黄金泥棒

最新電子機器を駆使して、難攻不落の施設に侵入して何かを盗み出すといえば、「007」や「ミッション:インポッシブル」の世界の物語だが、それが日本の普通の専業主婦でもできてしまう世の中になった。スマホ、3Dプリンター、ドローンという、誰でも買える機器で、ある主婦が黄金を盗み出す話。 前半は、田中麗奈演じる専業主婦が黄金を盗み出すと決意するまで。子どものいない夫婦で、彼女は退屈な日々を送っている。夫はいい人だが、微妙な関係。そんなある日、ふとした気の迷いで、彼女はデパートで展示即売されていた金の仏具を万引きしてしまう。そこから平凡な日常生活が少しずつ崩れていき、100億円はするという金茶碗を盗むことになる。 森崎ウィン演じる金製品販売会社の社員が、いかにも怪しげで、うさんくさい。この人物の存在が、映画全体では、大きなトリックとなっているので、要注意。後半は森崎以上に怪しげな人物がたくさん出てきて、とんでもないことをしようとしている田中麗奈が一番まともに見えてくるほど。 侵入、黄金奪取、脱出のドラマはコミカルで笑ってしまうが、そこにリアリティがある。 コミカルなエンタメで、難しく考えなくていいのだが、結構、風刺が効いている。

26/3/31(火)

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