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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
ザ・ブライド!
26/4/3(金)
TOHOシネマズ日比谷
フェミニズム・ホラー・アクションとでもいうべき、斬新で刺激的な映画。 19世紀の英国の女性作家メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は昨年秋、ギレルモ・デル・トロが映画にした。それと直接の関係はないが、「あの物語」の映画オリジナルの物語。 冒頭、1851年に亡くなった原作者メアリー・シェリーが登場して、時代の制約で描けなかったことがあるというようなことを吐露することから始まる。つまり、メアリー・シェリーがいま生きていたら、描いていたであろう物語という設定。 メアリー・シェリーは先駆的な女性作家で、19世紀半ば、20代であの『フランケンシュタイン』というホラーSFを、まだそういうジャンルがなかった時代に書いた。「女の作家」であることが認められにくい時代だったので、最初は女だとわからないよう、匿名で発行された。しかも酷評されたが、没後に高く評価される。そういう怨念を勝手に爆発させたのが、この映画。 フランケンシュタイン博士によって作られ「怪物」と呼ばれていた人造人間は生き延びていて、1930年代のシカゴに現れる。彼は「フランク」と名乗り、ある科学者に自分の妻を作ってくれと頼み、女性の遺体を墓から掘り出して、蘇らせてもらう。これまでマッド・サイエンティストといえば男性だったが、この映画では女性なのだ。 こうして蘇った女性を妻として、ふたりの暴走というか逃避行が始まる。リードするのは妻の方だ。以後は、すさまじいスピードで展開し、1分前には予想もつかなかったことが次々と起こっていく。こんなにも展開の読めない映画は久しぶり。 難しく考えれば、先に公開されたマーゴット・ロビー主演の『嵐が丘』にも通じる、19世紀の女性作家の小説の女性映画監督によるフェミニズム的再解釈でもある。
26/4/2(木)