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歌舞伎、文楽…伝統芸能はカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎

今期の新ドラマ、岡田将生と染谷将太主演の『田鎖ブラザーズ』を観ていて、「これは現代の曽我兄弟ものだな」と思った歌舞伎ファンは筆者だけだろうか。(かもしれないな。) 歌舞伎の曽我兄弟にも父を亡き者にした工藤祐経という敵がいる。その代表的な演目が五月の歌舞伎座昼の部の『寿曽我対面』(通称『対面』)だ。 時代背景は曽我物語本来の鎌倉時代。『対面』は歌舞伎の役柄大集合のような狂言であり、座頭で実事の工藤、荒事の五郎に和事の十郎、道外(どうけ)の小林朝比奈に敵役の梶原親子、立女形が勤める大磯の虎、若女方の化粧坂の少将、工藤の家来の近江小藤太に八幡三郎、兄弟の母満江、そして実事の鬼王新左衛門と、弟の團三郎など、当時のその一座の顔ぶれを見せる正月の名物狂言だった。 曽我ものには他にも舞踊『正札付根元草摺』や『雨の五郎』などがある。ちなみに今月の夜の部『助六由縁江戸桜』の花川戸助六も実は曽我五郎。兄の十郎も白酒売新兵衛に姿を変えて登場する。満開の桜の吉原が舞台なので、こちらは完全に江戸時代という設定なのが面白い。時代を超え、姿を変え、名前も変えて、彼らは永遠に敵、そして源氏の重宝の名刀を追いかける。 今月は『対面』の五郎を三代目を襲名する尾上辰之助が勤め、劇中に襲名口上も行われる。お見逃しなく! 

26/4/25(土)

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