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中山 ゆかり

ライター

企画展 ライトアップ木島櫻谷Ⅲ ―おうこくの色をさがしに

明治から昭和にかけて京都画壇で活躍した画家・木島櫻谷(このしま おうおく)。関東ではまとまって紹介されることのなかった櫻谷の、特に動物画家としての魅力を教えてくれたのが、泉屋博古館東京で開かれた2017年の展覧会だった。その後、テーマを絞って深掘りするシリーズ展『ライトアップ木島櫻谷』が始まり、今回はその第3弾。着目するのは、櫻谷の「色」だ。 面白いのは、作品のキャプションと一緒に円グラフがつけられていること。写真画像をパソコンで処理し、画面を占める各色の割合イメージを配色グラフにしたものだという。美術館の展示室の展示ケースに円グラフがずらりと並ぶ光景を目にする日がくるとは思ってもいなかったが、これが相当の優れもの。諸条件により色数や色調が必ずしも正確に再現できていない場合があると断り書きがあるものの、それぞれの作品の色遣いはダイレクトに伝わってくる。 緑の木々や秋の風景、動物画など、同色系でまとめた絵も、ぎゅっと凝縮された円グラフを見ると、おそろしく沢山の微妙に異なる色みが使われていることがよくわかり、改めて絵の緻密なグラデーションに見入ってしまう。落ちついた色調の絵で目を惹く群青や赤の差し色が画面上で占める割合はごくわずかであることは、グラフが如実に語ってくれるから、その少量ながらも絶大な効果にいっそう感銘を受ける。色々なヒントをくれる配色グラフは、絵をよく見るきっかけをくれるようだ。 展覧会の後半には、代表作《四季連作屏風》をはじめとした華麗な金地の大屏風や、迫力ある、あるいは愛らしい動物画の屏風が豪華に並ぶ。櫻谷の時代には、伝統的な岩絵具のほかに新しい絵の具が開発され、より多彩な表現が試みられるにようになった。色を重ねたり、絵の具を盛り上げたり、櫻谷が試みた様々な彩色の工夫や、時代による色彩表現の変遷を丁寧に教えてくれる作品解説も興味深い。 なお同展は、《四季連作屏風》をはじめ、前期と後期でかなりの作品入れ替えがある。前期は5月31日まで。後期は6月2日から。

26/5/10(日)

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