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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

急に具合が悪くなる

誰かとずっと話していたくなる映画だ。独りの時間も大切だろう。ただ、この作品を観たあとは無性に人と言葉を交わしたくなった。 パリ郊外の介護施設に勤めるマリー=ルー(ヴィルジニー・エフィラ)はある日、公園で舞台演出家の真理(岡本多緒)と出会う。後日、真理がステージIVのがん患者という告白を聞き……。 母国が違う同じ名前の女性が知り合い、心を通わせる様子が静かに紡がれる。ふたりは異なる葛藤を抱えながら互いの背景を深く知ろうとする。どちらも相手の母語が話せたことから、全編を通して繰り返される会話が見所だ。昼夜、時間を惜しんで語り合うふたり。余命わずかな真理の心情が落ち着いた言動から強く伝わってくる。 ふたりが夕闇迫る街を歩きながら自己紹介し、親しくなっていく描写が秀逸だ。辿り着いたセーヌ川の畔でも話は尽きない。背後では愁いを含んだラテンの旋律を楽しむ集団が描かれていたが、ふと仏監督ロベール・ブレッソンの『白夜』を思い出した。偶然だが、試写会場の上階では当日『白夜』の上映があった。『白夜』でもセーヌ川で哀愁漂うラテンの歌が流れ、男女が向き合った。 夜のセーヌ川で「マリ」たちの距離がぐっと近くなったシーンが美しい。

26/5/31(日)

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