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白坂 由里
アートライター
暗闇をくぐってみたら Part1 竹内公太展「のののののまつり」
26/5/1(金)~26/6/28(日)
市原湖畔美術館
改修工事中の市原湖畔美術館では、一部開館し、2期のシリーズ展「暗闇をくぐってみたら」が開催中だ。第一弾の竹内公太は、東日本大震災後に福島県を拠点に活動を続けているアーティスト。震災時にあふれた「忘れるな」というメッセージに対してむしろ「なぜ人は忘れるのか」と考え、伝え続けようとする念のこもった碑などを辿り、その言葉や声を作品に転換している。 今回は市原での4ヶ月にわたるリサーチを経て、新作を展開。地域に残る路傍の碑や野仏を訪ねて足を延ばして行った。公的に管理されたものより、気づいた誰かがケアしているような、生活に近く“少し弱い立場”の遺跡に惹かれるという。 最初の暗闇の展示室に現れるのは、馬の供養や無病息災を願う「三面馬頭観音」の映像インスタレーション。三つの顔を持つ像と向かいあう映像には、空から水辺、鳥の群れ、野焼きの炎と、移り変わる大きな世界が映し出されている。 地下にあるもう一つの大きな空間には、市原市北部を中心に多く残る、安産や子育ての無事を祈る石像物「子安像」を撮影した写真群を配置したインスタレーション。聖母像にも通じ、気配に圧倒される。また、部屋の一角に忠魂碑の映像を配置。忠魂碑とは、戦争で亡くなった郷土人を悼む石碑だ。国家への忠誠を称えるものでもあり、命の尊さが読み替えられる矛盾した構造を感じさせる。現在のガザやウクライナでの戦争なども想起せずにいられない。 こうした二つの大型展示を、誘導棒の赤色灯で「の」の字を描いて撮影した光の軌跡の写真などがつなぐ。竹内自ら身体を動かし、過去から巡る世界と交信しているようだ。トークイベントでは「戦争の加害について、どの国の人も語れればもう少しマシな世界になるのではないか」とも語っていた竹内。市原市に住む独創的なゲストたちとの対話の中で、ふと出た言葉であることも重要だった。
26/5/31(日)