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いい後味の娯楽作、隠れた秀作を発掘
坂口 英明
編集者(ぴあ)
PEACOCK/ピーコック
26/7/24(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町
日本発祥の友達レンタルサービスを研究して作られた、オーストリア出身監督によるブラックコメディ。 主人公は、「マイ・コンパニオン」という役割代行会社の売れっ子パフォーマーだ。依頼に応じて息子、恋人、友人と、どんな役でもこなす。役者とちがって、実人生が舞台。パーティーでは家族の一員として感動的なスピーチを披露し、同性カップルのパートナー役もそつなくこなす。 なるほどこういうのはあるかもしれないと感心したのは、離婚を望む女性から、離婚をきりだす交渉の練習相手、つまりその夫の役を演じてほしいという依頼。怒りやすい夫の恫喝にも負けないようにシミュレーションしておくというわけだ。的確な助言まで与える、ライフコンサルタントなのだ。 リッチな生活スタイルからみて、相当な高給取り。多分このサービスは高額で、ハイクラスの客を相手にしているのだろうと想像できる。SNSでの"高評価"、顧客満足度がこの仕事の生命線。主人公は常に、自分のパフォーマンスがどう評価されたかを意識しているというのがなんともいま風。 その彼が、うまく演じきれないのが、自分自身の役。恋人に「本当のあなたを感じない」といわれる。やがて、ある役割を演じている自分と、自分自身の境目がなくなっていき……という皮肉な展開。 SNSをやっていると、発信した内容のなかの自分とリアルな自分が、渾然としてきたりすることはある。そんな感じ、身につまされるひとはいるかも。シュールで、ポップな描写も個性的。こんな世界、ちょっと覗いてみるのもいいと思います。
26/7/24(金)