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柔軟な感性でアート系作品をセレクト
恩田 泰子
映画記者(読売新聞)
叛逆のサウンドトラック
26/8/7(金)
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
点が線になる。別々にとらえていたもののつながりが浮かび上がる。つながって、つながって、1960年前後の世界のありようが、今と驚くほど似通っていることに気づかされる。歴史、政治、時代のアイコンたちの軌跡を、映像、文字、そして何より音楽を駆使して描く映画で、飛び出す絵本ならぬ、飛び出す年表のような迫力。すさまじいリサーチとエディット力。見るほどに目を見開かれる。心に、体に、理不尽にあらがう者たちの抵抗のリズム、声が刻まれていく。 映画の軸は、かつてベルギーの植民地にされていたコンゴ共和国の独立前後の動乱、とりわけ政治指導家パトリス・ルムンバの運命だ。反植民地主義、民族自決を説き、民衆の支持を集め、同国初の首相となるも、つぶされる。誰に? コンゴの鉱物利権を失いたくない旧宗主国や、第三世界諸国とソ連の接近を恐れた冷戦下アメリカの思惑と謀略が克明にたどられる。そして浮かび上がってくる。世界の構造が驚くほど変わっていないことが。 ただし、世界は変わらないと言うだけの映画ではない。並行して描かれるジャズミュージシャンたちについての描写が私たちに示唆を与える。その音楽は、時代の「劇伴」から、時代の変化の象徴へと変わり、やがては理不尽に対する抵抗する動きと完全に同期。歌声は叫びになり、叫びは歌声になる。そして、観客の心に火をつける。
26/8/2(日)