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社会を映しだす映画をわかりやすく紹介

池上 彰

ジャーナリスト、名城大学教授

オペレーション:カブール 極限救出48時間

2021年8月、アメリカ軍はアフガニスタンからの撤退を開始します。「アメリカがいなくなったらタリバンに殺されてしまう」と怯えた多数のアフガニスタン国民が「自分も連れて行ってくれ」とカブール空港に殺到します。 このときNATOの治安維持部隊の一員としてアフガニスタンに駐留していたハンガリー軍も撤退しますが、アフガニスタンで医療活動をしていたハンガリーの女性医師や通訳など200人を救出する任務が与えられます。彼らは無事に全員を救出できるのか。 そもそもアメリカは、2001年9月に起きた同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディンを匿っていたアフガニスタンのタリバン政権を攻撃・打倒して以降、アフガニスタンに駐留していましたが、2016年にトランプ大統領が誕生すると、撤退を決めます。 ところが、この決め方が乱暴で杜撰でした。アメリカの味方だったアフガニスタン政府に断りなしにタリバンと直接交渉をして撤退することにしてしまうのです。 実際にアメリカ軍がアフガニスタンから撤退するのはバイデン政権になってからですが、トランプ政権がしっかりとした撤退計画を立てていなかったために、カブールの空港で大混乱となります。 当時はアメリカ軍の撤退の拙速さとカブール空港に殺到するアフガニスタン国民の混乱ぶりばかりがニュースになりましたが、その裏には、NATOの一員としてアメリカ軍に協力していたばかりに混乱に巻き込まれたハンガリー軍の奮闘があったのですね。映画の中では、ほかのNATO軍兵士との軋轢も描かれます。 救出を求める多数のアフガニスタン国民を前に困惑するハンガリー軍兵士。自爆テロを目論むタリバンと一般市民をどう区別するのか。ハンガリー国防軍全面協力のもと、当時の緊迫した様子が見事に描かれます。 映画はここで終わっていますが、その後、アフガニスタン全土を制圧したタリバンは、女子教育を禁止。女性たちは職を失い、過酷な生活を強いられているのです。

26/8/21(金)

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