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平辻 哲也

映画ジャーナリスト

バックルームズ

「映画史を塗り替える異変」「天才映像クリエイター」──そんな宣伝文句には少々身構える。だが、見終われば、「確かに」とうならされる。16歳でYouTube短編「The Backrooms」を発表したケイン・パーソンズ監督が、19歳で撮影した長編デビュー作。 見慣れているはずの壁や蛍光灯や廊下が、ほんの少し狂っている。それだけで、こんなにも怖いのか。その“何も起きていないのに怖い”感覚を、長編映画として成立させた映像感覚はただものではない。 物語は、自分の店の地下から異次元へ迷い込んだ男が、不条理な世界をさまようというシンプルなもの。だからこそ、空間そのものが恐怖になる。『オブセッション 災愛』のカリー・バーカー監督も26歳。ホラー映画から、若い才能が次々に飛び出している。しかも、彼らの出発点はYouTubeだ。不安の多い時代だからこそ、正体のない恐怖を映像にする若者たちの感覚が、世界中の観客とつながっているのかもしれない。

26/9/21(月)

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