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恩田 泰子
映画記者(読売新聞)
台湾文化センター 台湾映画上映会2026
26/5/16(土)~26/10/24(土)
ユーロライブ、 シネ・ヌーヴォ
『甘露水』 ─「台湾映画上映会2026」で上映 台湾美術史にその名を刻む彫刻家の黄土水(1895―1930)と、代表作である大理石の裸婦像「甘露水」(2023年に国宝指定)の軌跡をたどるドキュメンタリー映画。これがめっぽう面白い。美術史年表的な記録映画とも、最近よくあるドラマチックな人物ドキュメンタリーとも、まったく異なるアプローチで題材に向き合っている。 黄土水は、台湾人で初めて東京美術学校(現・東京芸術大学)に入学し、帝展に4度入選。天才彫刻家として名を馳せたが、35歳の時、東京で病死。死後、作品は台湾に運ばれたものの、「甘露水」の所在は戦後、長らくわからなくなっていた。作家と作品の歴史自体がかなり興味深いのだが、この映画はそれにべったりと寄りかからない。監督の林君昵と黄邦銓は、作家と作品が呼吸してきた日台のさまざまな場所を訪れ、時代は変わっても変わらないものを見据え、16mmフィルムに美しく焼き付けていく。それは言うなれば、人と芸術の関係性である。 彫刻家はなぜ気の遠くなるような作業を重ねて、大理石を削ったのか。激動する時代の中、それを守った人の心には何があったのか。この映画に登場する人たちは(たとえ題材との関係は薄くとも)たぶん肌身でわかっている。アートを生きるよすがとする者たちの心の豊さが伝わってくる。ロマンチックでいることは、自由なこと。そう感じさせる映画でもある。 * 台湾映画上映会2026 9/19(土) ユーロライブ 『甘露水』 上映 10/4(日) シネ・ヌーヴォ 10/24(土) 台湾文化センター(東京・虎ノ門)
26/9/5(土)