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村山 章

映画ライター

ナギダイアリー

深田晃司監督は、どこか奇妙な人間関係から人の業や矛盾をあぶり出し、独自の世界を築いてきた。しかし前作『恋愛裁判』ではアイドルの世界を等身大に綴り、最新作の『ナギダイアリー』はもはや老成といっていいほど滋味深い群像劇になっていて、近年の振り幅に驚かされる。 舞台は自然豊かな田舎町ナギ。地元在住の彫刻家の寄子を友梨という女性が訪ねてくる。寄子は弟の元妻である友梨に彫刻のモデルを頼んでおり、そこに寄子の幼なじみや地元の少年たちが絡んで、それぞれの秘密が明かされていく。 語り口は静かでフラットだが、水面下では激しい感情が渦巻いている。しかし物語の推進力となるそれらの感情を特別視せず、ゆるやかに人生の流れに取り込んでしまう。深田監督はこんな達観の境地にどうやってたどり着いたのか。しかも現実からあえてはみ出す映画的飛躍も忘れない。何なんだこの映画は。大した事件はひとつも起きないが、とても豊かで、目が離せない。

26/9/13(日)

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