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これまでに観た映画の記憶が違います

渡辺 祥子

映画評論家

ワンダンス

踊っている。ただ夢中で、ずーと踊っている。 吃音の悩みを抱えて目立たないように暮らしてきた小谷花木は、深夜のバイト先でひたすら踊る湾田光莉の姿に魅了された。その姿のカッコよさ、というより踊っている人間が踊りそのものになっていることの不思議、そこに生まれる熱い空気に魅了されて彼の胸は騒いだ。 自分も踊りたい。そして踊りはじめ、誰もが踊ることに夢中の連中の仲間に入れてもらい、踊ることに魅了され、のめりこんでいった小谷花木、通称カボ。演じるJOは演技は今回が初めての新人だそうだが『雪子 a.k.a.』で商業映画監督デビューしてこれが2作目の草場尚也は無理な演出をしないで踊る姿に目を向けている。 ここには特別の空気が生まれることもなく、天才誕生!と圧倒されるような驚きはないが踊ることの幸せが溢れている。一応様々な舞台やホールで踊る人々を見て来てプロのダンサーはもっとうまい、と思ったけれど、花木と彼が仲間に入れてもらうチームの連中が放つ踊ることの幸せを感じたことはなかったような気がする。踊るって幸せ。そんな声が聞こえてくる映画だ。

26/11/5(木)

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