Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

追悼企画 市原悦子と樹木希林 「個性派」と呼ばれたふたりの女優

『郷愁』(6/22〜28) 神保町シアター 追悼企画『市原悦子と樹木希林 「個性派」と呼ばれたふたりの女優』(6/8〜7/5)で上映 『祭りの準備』『津軽じょんがら節』の名脚本家中島丈博の初監督作品。 中島は、『祭りの準備』は世評高い作品だが「何かが違う」という思いが募っての監督初チャレンジだったと語っている(そういえば師の橋本忍にも三本の監督作品がある)。 『郷愁』の山沖住男は中学生、『祭りの準備』の沖楯男は十代後半から二十歳前半、上京後の作家修業時代のことは『独身送別会』(NHK銀河テレビ小説/1988)としてドラマ化されている。 本作はそれら自伝的脚本の初作だからどうしても『祭りの準備』と比べられがちだが、昭和28年ごろの高知県中村市の風景や生活を丁寧に描いており、それだけでも観る価値が十分にある隠れた名作だ。ただ本作には、『祭りの準備』のように泥棒稼業の原田芳雄や若い娘を妊娠させてしまう祖父(浜村純)という強烈なキャラクターがいない分、地味な作風であることは確かなのだが。 樹木希林は、事故で息子を亡くした母親を無言の演技で好演している。

19/6/15(土)

アプリで読む