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水先案内人のおすすめ

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おとなのJ-POPとJ-ROCKを紹介

平山 雄一

音楽評論家、プロデューサー、俳人

倍賞千恵子コンサート with 小六禮次郎

昨年、釧路で観た倍賞千恵子と小六禮次郎のパフォーマンスは、2018年のベストテンに入る素晴らしいものだった。倍賞はデビュー曲『下町の太陽』(1963年)などの懐かしいヒット曲を心を込めて丁寧に歌い、映画のシーンはもちろん、その時代の空気感までを喚起させる歌唱を披露。シンガーとしての圧倒的な力量を発揮していた。また森繁久彌直伝の『オホーツクの舟唄』を、森繁とのエピソードを交えて歌い、その後、『知床旅情』としてヒットするこの歌の含む歴史や感情をオーディエンスに見事に伝えていた。 彼女の歌をサポートする作曲家・小六のピアノは、倍賞の歌のツボをよく心得ていて、さすが夫婦と思ったものだ。いや、夫婦として以上に、二人の音楽の解釈力に感動した。小難しい理屈ではなく、その歌の成り立ちや、その歌を愛してきた人々の暮しさえ垣間見せる凄さがあった。 『深呼吸したら思い出した…。ありがとうふるさと、ありがとうあなた』と題されたこのコンサートは、15年の歳月をかけて練られてきた好企画で、毎回、人気を呼んでいる。今回も『さくらのバラード』や『港が見える丘』など、倍賞にしか歌えないナンバーが数多くピックアップされることだろう。そうした歌の合い間に語られる珠玉のエッセイのようなMCも、このコンサートの大きな魅力になっている。ちなみに、デュエットの際の小六の味わい深い歌声もチャーミングなアクセントになっていて、大人におススメのコンサートだ。

19/6/16(日)

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