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時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介
佐々木 俊尚
フリージャーナリスト、作家
テッド・バンディ
19/12/20(金)
TOHOシネマズ シャンテ
30人以上の女性を殺していたが、一方でハンサムで知的で政治家の選挙事務所でも働いていたという実在の連続殺人者を題材にした映画。テッド・バンディの話は過去に何度も映画やドラマ、ドキュメンタリーなどで取り上げられているが、本作は実に新鮮。なんとバンディと恋に落ち、ずっと彼の無実を信じていた女性の視点からこの猟奇殺人者を描いているのである。バンディを『グレーテスト・ショーマン』にも出たザック・エフロンが演じているのだが、実に魅力的で誠実な感じで、観ていると本当に無実を信じそうになってしまう。でも最後の最後で、驚くべきどんでん返しがやってくる。 魅力的に演出されればされるほど、バンディの異常さが逆に浮かび上がってくるという仕掛けは、かなり強烈。善と悪など実は紙一重でしかないという当たり前の事実も突きつけられ、観終わると呆然となる。
19/12/17(火)