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水先案内人のおすすめ

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平辻 哲也

映画ジャーナリスト

37セカンズ

昨年2月のベルリン国際映画祭での観客賞を受賞を始め、世界の映画祭で高い評価を集めた話題作。昨年の早い段階で鑑賞した筆者は「2020年のベストワンは決まった」と紹介記事を書いたこともある。今後も良作は出てくるはずなので、気が早い評価かもしれないが、映画賞を賑わすことは間違いない。 ヒロインは郊外でシングルマザーの母(神野三鈴)とひっそりと暮らす脳性麻痺のユマ(佳山明)。ゴーストライターとして漫画を描きながら、車いす生活を送る彼女はある時、アダルトコミックを拾い、自分の作品を描くことを決意。その作品を編集部に持参する。女性編集長(板谷由夏)には気に入ってもらえるが、「あなた、セックスしたことはある? 作品はいいけど、リアルさにかけるんだよね。あなたがセックスしたら、連絡しておいで」と言われてしまい、ユマは夜の歓楽街へと出かける……。 車いすのヒロインが性の目覚めを通じて、成長していくという青春ストーリー。メガホンを執ったのは、大阪出身、南カリフォルニア大学を卒業し、ロサンゼルス在住の女性HIKARI氏。これが長編デビュー作になる。サンダンス国際映画祭の脚本プログラムに参加したものをブラッシュアップした。NHKとの共同制作で、既にドラマ版はNHK BSで放送されている。 ユマを演じたのは、実際に脳性麻痺を患う加山明(めい)。HIKARI監督は「どこかにユマはいるはずだ」と広くオーディションで募った。佳山は日本福祉大学を卒業後、社会福祉関連の仕事に従事。演技経験はゼロ。新人監督が素人を使って、映画を撮るなんて、と思った方は、映画を観たら、さらに驚くはずだ。 映画業界では、障害者が主人公の映画は当たりにくい、というジンクスもあるようだが、「最強のふたり」は大ヒットしている。しかも、本作は障害映画というジャンル映画ではけっしてない。その切り口はユニークではあるが、普遍的な成長物語だ。公開されれば、口コミで評判が広がるはず。ぜひお早めに鑑賞ください。

20/2/6(木)

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