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恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

Red

三島有紀子監督の『ビブリア古書堂の事件手帖』を観た時、夏帆の鎖骨が目に焼きついた。道ならぬ恋に落ち、その相手に体をゆだねるシーン。美しく息づく彼女の体はこわれもののような愛そのものをあらわしていた。そんな素晴らしい瞬間を残した監督と女優が再び組んで、島本理生の小説『Red』を映画化した。 結婚して傍目には何不自由なく暮らしていた主人公が、昔の男と再会し、本当はどう生きたいのか、体から目覚めていく。ひらかれるのではなく、ひらいていく。恋愛映画であり、女性映画。見ていて、忘れられなくなるのは夏帆の目だ。どこかとらえどころのなかったそのまなざしは次第に強い光を帯びて、やがて静かな覚悟を湛える。女が「ハンドル」を握る時、観客の心は射抜かれる。

20/2/19(水)

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